宮城県仙台市に本社を置くAZUL Energy株式会社(代表取締役:伊藤晃寿)は、2026年11月2日(月)10:00から、大容量の亜鉛空気電池「Ferion(フェリオン)」の販売を開始する。商用電源を引きにくい場所で、比較的小さな電力を長時間にわたって供給する用途を想定した製品だ。
販売開始と同じ日に、公式ECサイト「Ferion.jp」をオープンする。個人と法人のどちらも購入でき、ウェブサイトでは卸売りや法人向けの大量発注について、見積もりと問い合わせの受付も始める。

空気中の酸素で発電する一次電池
Ferionは、空気中の酸素を利用して発電する、充電不要の亜鉛空気一次電池だ。負極に亜鉛を使い、外部から取り込んだ酸素を正極の反応に利用して電力を生み出す。酸素を活物質として使うため、電池内部に蓄える材料を減らすことができ、原理的に高いエネルギー密度を実現できる。亜鉛空気電池のエネルギー密度は、一般的なリチウムイオン電池と比べて理論上約3倍とされる。
容量は最大6.24kWhに達する。単1アルカリ乾電池と比べた場合、シリーズで最も小さい「Ferion 6-50」は約13本分、最も大きい「Ferion 12-600」は約347本分のエネルギー容量に相当する。

長時間給電・充電不要・発火リスク低減の3つの特長
1つ目の特長は、大容量による長時間の給電だ。長期間にわたって電力を供給できるため、山間部や無人設備など、電池の交換が難しい場所での維持管理の負担を軽減する。2つ目は、外部からの充電が要らない点だ。太陽光発電とは異なり、日照や天候に左右されず、夜間や曇天でも電力を供給できる。
3つ目は安全性だ。一般的なリチウムイオン電池は可燃性の有機電解液を使うが、Ferionは水系電解液を採用し、可燃性電解液に起因する発火リスクを低減した。そのため、屋外や人の立ち入りが少ない場所での利用にも適している。
同社は2026年7月、東洋システム株式会社いわき評価センターで、第三者機関による安全性評価を実施した。釘刺し試験では、比較対象のリチウムポリマー電池が最高349.4℃に達し、発煙と火花が確認された。一方、Ferionの最高温度は39.7℃にとどまり、発煙・発火は確認されなかった。

電気柵や工事用表示灯など、電源確保が難しい現場に
同社は、比較的小さな電力を長時間供給することが求められる、次のような用途を想定している。
- 獣害対策・電気柵:農地や山間部の電気柵の電源として、電池交換や維持管理の負担を軽減
- セキュリティ・見守りIoT:トレイルカメラや遠隔監視センサーなど、電源確保が難しい場所での長期運用を支援
- 工事用表示灯・仮設照明:矢印灯や仮設照明など、屋外設備への継続的な電力供給に活用
実際の利用環境での性能検証も進めており、2026年7月からは農業現場で電気柵の実証試験を始めている。同社は、商用電源の確保や太陽光発電設備の稼働が難しい農地、山間部、工事現場などでの活用を見込む。特に、電池交換に手間や費用がかかる遠隔地や無人設備では、長期間の電力供給によって維持管理負担の軽減に貢献するとしている。

容量・電圧の異なる4製品を展開
今回の販売開始にあたり、容量や電圧の異なる次の4製品をそろえる。製品ごとの仕様や対応機器、使用時間の目安は公式ECサイトで確認できる。実証・卸売・大量発注などの法人向け問い合わせは、同社ウェブサイトの窓口で受け付ける。
- Ferion 6-50:公称電圧6V、公称容量45Ah、公称エネルギー234Wh、価格7,500円
- Ferion 15-100:公称電圧15V、公称容量90Ah、公称エネルギー1,170Wh、価格17,000円
- Ferion 15-200:公称電圧15V、公称容量165Ah、公称エネルギー2,145Wh、価格34,000円
- Ferion 12-600:公称電圧12V、公称容量600Ah、公称エネルギー6,240Wh、価格90,000円